「うふふ……そーよ♡ でも、その前にぃ……♡」
「んん!?」
ペロリと舐め濡らした唇で口を塞がれ、直樹は泡を食う。
口の中に忍び込み、妖しくそよぐ舌肉。
ドロテアもライラに倣って口を寄せ、敵であるはずの勇者の舌を熱烈に引きずり出す。
(こっ、こいつら……なにを考えて……!?)
目を伏せ、一心に唾液を啜るその様子は、とても魔王の手先とは思えない。
直樹はされるがままとなったが、それは戸惑いのせいだけではなかった
(上手い……いや、巧すぎる……こいつらのキス……)
直樹の舌を優しく唇で食み、絶妙な力加減でたっぷりと舐る。
かと思えば、軽く歯を立て刺激して、いきなり奥まで入れて来る。
ディープに絡めもすれば、ちゅっちゅと可愛くついばむだけのフレンチなキスもありと、
千変万化、緩急自在の口技だ。
吐きかかる息も、甘くて熱い。
そして、やがてそれは直樹の肉体にも影響を及ぼし始めた。
(な……なんだ……? 身体が……段々熱くなって……)
疼く。全身が、特に股間が熱く滾る──そしてそれは、普通の欲情とは違っていた。
その気もないのに強制的に勃起させられている感覚だ。絶対にヤバい。
だが、それすらもどうでもよくなるほど気持ちがいいのだ。
頭は霞み、身体はいうことをきかず、もっと快感を、もっと快楽をと体の全細胞が望み、
抗うことができない。
「ブハッ……」
たっぷりと直樹とのキスを愉しんだライラが口を離し、妖艶に微笑んだ。
「ふふ……♡ あたしたちサキュバスの体液には媚薬の効果があるの♡ この様子だと、
ちゃーんと、効果が出てるみたいね♡」
本文中より抜粋
抜粋文とイラストは一致しない場合があります。
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