「う……! やめ……ろ……!」
尻餅をついてしまった少女の足が、ガッチリと固定されて動かせない。襲い来る触手群を見上げる形になったアリスの目には、急降下してくる何本もの触手が映っていた。
周囲が見えないほどの肉手の壁が出来上がっている。その檻に捕らわれた女剣士の身体に続々と迫る触手。
「うううっ! なんだ……これは……!」
とっさに掴んだ触手を押しやろうと力をこめて……ずるっ。触手の体表から、ぬるぬるした液体が滲み出ていてまともに掴めない。
それでも触手を払おうと少女はあがき続けるが、とても払いきれなかった。抵抗できる腕は二本しかないのに、迫り来る触手は何十本もあるのだから当然だ。
ぐにゅ、ずるる……。
「や、め……、ひっ!」
頭に背に、腹に足に。あちこちに何本もの触手がまとわりつき、ずるずる這いずって粘液を擦りつける。髪に潜り込んでうなじを撫でる触手に嫌悪感が湧き上がった。内腿をくすぐるようにつついてくる触手には身体が凍りついた。
「う……くぅ……離れろ……離れろっ!」
無茶苦茶に手を動かし、触手を叩き、払い、引き剥がそうとしても。
ずるりとすべって反抗を逃れた触手が、アリスの頬を舐めるように押しつけられる。
「っは! ん! んむんんんんっ!」
本文中より抜粋
抜粋文とイラストは一致しない場合があります。
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