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聖換天使エクスラグナ
小説:上田ながの 挿絵:雛森瑞羽
 

「んあぁっ!」
 舌が伸び、肉襞を舐める。途端に乳房に対する愛撫以上の刺激がヒツギを襲った。明らかな快楽を伴った感覚に、思わず声を上げ、ビクリッと身体を震わせてしまう。
「はぁあああ。ち、ちょっと塩っぱいな。あ、汗をかいているからかなぁ?」
 ニタニタ笑いながら小首を傾げてくる。
「う、五月蠅い。だ、だま──あっ、んひあっ!」
 文句を言う暇などなかった。更に陰部に対する口付けを行ってくる。
 まるで唇にするかのように、最初は啄むようなキスが繰り返された。
 グチュッグチュッと唇が媚肉に押しつけられる。
「くっ……んんっ……」
 自分の両足の間。股間部に憎むべき──母の仇ともいうべき男が醜悪な顔を埋めている。これほど屈辱的なことはなかった。
(殺したい。こいつを殺してやりたい……)
 強く拳を握り込み、憎しみを込めた視線を向ける。
 だがそれだけだ。それ以上のことは何もできない。この男がいなければ、世界を守ることができないから……。
 べちゃっ、ぺちゅるっ! くちゅっ! ぺちゅう。
「んくっ……ふっふっふぅうう……」
 やがてキスだけでなく、本格的に肉襞を舐めてくる。トレーで水を飲むイヌのように、わざとらしい音を奏でながら、肉襞の一枚一枚をしゃぶってきた。
 舌の蠢きに合わせて、肉体を肉悦の波が襲う。自然と口が開きそうになってしまったが、必死に唇を引き結んで喘ぎ声を抑えた。
「ど、どうしたの? き、きき、気持ちいいなら、声を上げてくれていいんだよ」
「き、気持ちよくなんか……んっんっんっ……な、ないわ! 気持ちよくなんか、はぁはぁはぁ……な、なるはずない!!」
「気持ちよくない? う、嘘をついても無駄だよ。だって、ほ、ほら……」
 語りながらニチャリッと指を媚肉に沈めてくる。
「ふぐぅっ」
 走る刺激。シーツを握りしめてしまう。
「こ、こんなに濡れてる」
 触れた指はすぐに離された。指先と膣の間にねっとりと糸が伸びる。間違いなく愛液だった。
「……た、単なるせ、生理現象よ……」
「ま、またせ、生理現象? お、音羽も昔そういってたよ。ウェヒヒ、こ、こうなると俄然やる気が出てきちゃうなぁ。お母さんみたいにあんあん可愛らしくささ、囀らせてあ、あげるね」
 これまでヒツギに向けてきた中で最高の笑顔──最高に気色の悪い笑みを絹川は浮かべた。
 
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