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「ひっ、卑怯よ! こんなマネして……正々堂々……勝負しなさいよっ!」
星々の平和を守る戦士とはいえ、一皮剥けばうら若き乙女。大勢の男達の前で肌を晒すのが恥ずかしいのは当然。
左手で両胸を隠し、右手でステッキを差し向けつつ挑発しても、次はどこが消えるか気が気でない。自然と太腿をピタリと閉ざし、だんだん腰が引けていく。
その間も、ドレスの消失は止まらない。腋の下から背中に向けて、恥ずかしさで朱に染まった柔肌が晒された。
「おおっ、また消えたぞ」
「そのうち、全部なくなんじゃね?」
見物人達の心ない野次が、耳の奥をねちっこく撫で回す。
(こっちの気も知らないで……)
「さーて、お喋りはこれぐらいにして、バトル再開といこうかいっ!」
恥辱に唇を噛み締め、身を固める彗星戦姫に追い討ちをかけるべく、宇宙闇商人は嬉々としてエネルギー光弾を打ち出し始めた。
バシュンッ! ババババッ!
「えっ! やあっ!」
慌ててバトルステッキを振り回し応戦するものの、身体を隠しながらの体勢では防戦するのがやっと。とても攻め込む余裕はない。
(このままじゃ、勝てない。でも……)
すぐにでも逃げ出したい思いを押し殺し、少女は悪しき巨漢に立ち向かう。
なぜなら、今奴を逃せば手にした大量のエネルギーが取引相手の宇宙テロリストに渡り、どこかの星で誰かが不幸な目に遭わされるから。
「今度はお臍が出たぞ!」
「あのまま下まで消えれば……」
しかし自分達に被害がないせいか、周囲の地球人達は徐々に脱がされていく彼女を暢気に見物するばかり。
(何言ってるのよ!!)
不愉快な反応を見せるギャラリー達ではあるが、それでもリーシャは彼らを巻き添えにしないよう、懸命に光弾を打ち返す。平和に暮らす人達を、理不尽な不幸に遭わせたくないから。
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