カメラが切り替わり、尻全体が映った。谷間に潜りこんだスライムに操られるように、尻が上下左右に弾み、円を描くようにくねって躍る。
「はうっ! あん、あふぁあああ!」
茉奈も知識として、肛門を愛撫する性技があることはわかっていた。同意のうえでなら肛門を舐めるのも、舐められるのも、立派な性行為のひとつだと、頭では考えてきた。
しかし実際に自分が体験して、排泄のための器官がこれほど鋭敏に感じやすいことが、ショックだった。
(気持ちいい! お尻の穴を舐められているだけなのに、どうしてこんなに気持ちよくなるの!?)
尻をカメラの前で振りたてながら、茉奈は懸命に言い訳をひねり出した。
(あああ、スライムも媚薬を出して、お尻をおかしくしてる。媚薬でなかったら、いきなりお尻の穴をいじられて気持ちいいはずがない!)
脳内で自身の尻を弁護している間にも、スライムに舐め責められている肛門は、どんどん感度がよくなる。官能を深くしていく。
「はっんあああ! お尻が、わたしのお尻があ……」
「おおっと! 茉奈選手はお尻の穴が気持ちいい、と言うんですね!」
ミスター・ラッキーがスライムプールにズブズブと入ってきて、金ぴかのマイクを茉奈の顔に突きつけた。
「違う! 気持ちよくなんかない! ふおおう! はぁぁあああ!」
「そのよがり声は、気持ちよくなっている証拠でしょう! テレビに出演している人は嘘を言ってはいけませんよ! コンプライアンスに反しますからね!」
「気持ちよくなんか、はあっひいいいいっ!」
尻から重い衝撃波がズンッと伝わってきた。背筋が上下に振動して、脳に到達する。
「ひいっおおおおう! お尻がっ! お尻がああっ!」
引きつる顔をモニターに向けると、スライム柱が肛門を強引に割って、中に先端を挿入しているのが見えた。
「いやああ! お尻に入ってくる! そんなのいやあああっ!」
アナルセックスの知識があっても、自分の不要物を体外へ出す器官に、異物が入ってくる光景を見るのは、天地がひっくり返る異常事態だ。
侵入する怪物を振りほどこうと、茉奈は力の限りに尻を振りまわした。しかし肛門に吸いついたスライムは、血を吸う蛭のごとくはずれない。逆にミチミチと狭いすぼまりを押し広げて、徐々に尻の中に侵入してくる。
「ひいいいいっ! 入ってくる! お尻に入らないでえっ! ダメええ! やっあああああああッ!」
もうスライムの侵略を止めることは不可能だった。モニターに映るスライムの太さは男の親指ほどだが、体感では太い杭を尻に呑みこまされている気がしてならない。
それなのに苦痛は感じない。杭はとても柔らかい。尻の中で形を崩して、腸の内側の形状にぴったりと合わせて、奥へヌルヌルと進んでくる。
「はあう! あっ、あふぁあああ……おかしい、くんんん、お尻が変になっちゃうう……」
本文中より抜粋 抜粋文とイラストは一致しない場合があります。 ※挿絵はWeb用に修正を強くしてあります。
|