「もどかしいんだろう? もっと、強くして欲しいんだろう?」 「ぐっ……」 口を開けば甘く上ずった声がまたこぼれてしまいそうで、あわてて噛み締め。 (そんなんじゃない。私も、珠優ちゃんも。そんなエッチな女の子じゃないもの……!) 透けて覗かれる心配のない心の中でだけ、否定の意思を示すことができた。 「さ、先っぽ……ジンジンしちゃっ……ふぁあぁんっ」 親友の甘い鳴き声は、まだ止め処なく響いていた。 「搾っても、なにも出なぃ……んだからぁっ……!」 我ながら何を言ってるんだろうと思いつつも、同じ刺激を受けている友人の嬌声の余韻と、我が身の内に蓄積する感情を打ち消したくて、声を張る。 肩口の破れ目から、衣装の内側にまで触手たちが潜り込んできていた。ヌチャヌチャと音を立て、染み出る粘液ごと胴体を擦りつけては嬉々として脈動する、不気味な触手。 (気持ち悪い、のにっ……ど、どう、してぇ……) 異形の蠢きに合わせて、腰が揺れる。くすぐったいから。あるいは気持ち悪くて敵わないから。思い浮かべた言い訳のいずれもが、心の奥で不正解を言い渡される。 触れられた部位が熱を持ち、じれったくなって、我慢できなくなりそうで──怖い。未知の感覚は、恐怖を呼び込み反撃の気勢を削いでいった。 「強情張らずに、身を任せてしまえ。牝豚らしく、鳴いてみせるがいい」 「いやっ……絶対に、嫌よっ!」 暴れるたびギチギチと、四肢を、腰を、胸を縛る拘束が軋み。その都度異形の触手は体液をにじませ、ますますヌルヌルと全身、生臭い汁のヌメリ気に包まれる。
本文中より抜粋 抜粋文とイラストは一致しない場合があります。 ※挿絵はWeb用に修正を強くしてあります。
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