「かかってる振りをしているなら、もう終わりにしろよ。そうじゃないと……」 震える声で呟きながら、青年は人差し指を立てた右手をそっと伸ばしていく。 向かう先は自分を兄のように、それ以上に慕ってくれているツーサイドアップの少女の胸元。呼吸に合わせて上下している形良い双丘の頂点だ。 ――ぷにっ。 「んぁ……ぅ」 「うぁっ!」 掠れた声が綻ぶ唇から漏れると同時に、ゼリーみたいな弾力に指を押し返された。 わずかに潰れたふくらみはすぐ元の形に戻り、その余韻でしばし揺れ続ける。 指先に残っている心地よい柔らかさと温もり、触れるだけでこんなに幸せな気持ちになれる場所が存在するなんて不思議に思ってしまうほどだ。 (昔はぺったんこだったのに、成長って早いよな……) 彼女が赤ん坊の頃から知っているだけになんとも感慨深い気分になってしまうが、すぐにそんな場合ではないと息を呑む。 「わ、悪い、花恋! 俺、何を考えて……その……」 慌てて謝るが、立ち尽くす少女は相変わらず表情を変えないまま。 演技ではなく本当に催眠状態だと改めて確信できる姿だ。 (花恋が大丈夫なら……他の二人も?) 指先に残っている温もりが頭の方まで伝わってきて、熱を出したかのように意識が朦朧としてきてしまう。そのまま、今度は左右両方の手を同時に伸ばしていく。 ムニュッ、プルンッ。 「ふぁ……」「あふっ」 突きたてのお餅よりも柔らかく、どこまでも指が沈んでしまいそうなミレーユの乳房。 片やさっきたっぷりと背中に押しつけられていた瑠香のそこはより弾力に溢れ、限界までふくらませた水風船のような強さで指を押し返してきた。
本文中より抜粋 抜粋文とイラストは一致しない場合があります。 ※挿絵イラストはWeb用に修正してあります。
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