「こ、擦ってくれれば……、治るかも」 若干どもりながらも、偽らざる気持ちを舌に乗せ、告げてしまう。 「擦ればいいのですか? 手で……わ、わかりました!」 「よろしくお願いしまっ……す、うぅっ!?」 にゅる、にゅむるっ、にちゅりゅっ……。 言い終えるよりも先に、さっそく石鹸と汗とが混ざりぬるついた感触が、手のひらという柔らかなスポンジとともに牡の幹に巻きついてきた。 「すごい。筋張って……それに、やはり相当、熱を持ってます」 どうしてこんなになるまで放っておいたのですか。咎める口ぶりの少女の吐息が、耳の裏に吹きかかり、ますます腰の熱は上気。屹立する角度と高度を強めた肉幹が、絡む指に鼓舞するかのように鼓動を二度三度、轟かす。 ――びくんっ! (う……っ、ぁ……あぁっ、ぜ、全然違うぅぅぅっ) 牡の鼓動におののきつつも、クリスの指先が浅く、筋張った幹の裏側を擦り立てる。キチリと爪を切り揃えた彼女だからこその、男の手とはまた違った微細なタッチ。自分で擦るのと違って思い通りに刺激してくれぬもどかしさもあるけれど。かえってそのもどかしさが、ジワジワと真綿で締めるかのような歯がゆい甘美を増長させる。 「そ、こっ……もっ……とっ」 こそばゆさが股根に響いて、ついつい催促の声とともに腰を突き出してしまう。 「ここが痛むのですか? では念入りにっ……」 摩擦治療に熱中するクリスの胸は、もうすっかり押し潰れる勢いで背中にのしかかっていた。おまけに手つきは熱意こもる一方で、石鹸というファクターがもどかしくも心地よい刺激の緩衝材として、ぎこちない指の動きをフォローしている。 (ッッ……! い、今裏スジをつ、ツツゥッ……て、かすめ、たっ……ぁぁっ)
本文中より抜粋 抜粋文とイラストは一致しない場合があります。 ※挿絵イラストはWeb用に修正してあります。
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