「もう許さないから、ヤミヨちゃん!」
「黙りなさい──私のペットを始末したところで、すでにあなたは私より格下なのよっ……」
対峙し、一瞬の呼吸を挟んだ直後──。
「光よ──」
「闇よ──」
二人の膨大な魔力がそれぞれを中心に渦を巻いて集まり、生みだされる魔力の流れと波がぶつかり合って、火花を散らす。
「はあああぁぁぁ────っっっ!」
声を張り上げ、心を叱咤し、メイは相手の魔力に僅かたりとも競り負けまいと、魔力を注ぎ込む。彼女の言う通り、触手による妨害が断たれたとはいえ、ここまでの魔法私用によって、自分の力が彼女未満になっているのは間違いない──それはすでに、身を持って体験している。
「ふん、いくら声を上げても無駄なものは──」
そうしてヤミヨが杖を僅かに振る、その波動だけで魔力の波が勢いを増し、こちらの光の魔力に亀裂のような歪みが生じていた。
(っっ……まだっ……もっと、もっと力を──)
以前の襲撃においても、彼女は学校でなにかをしようと企んでいるようだった。そして今回も、魔力で学校を覆うという行動を見せている。
目的自体はわからないが、それが闇の扉の開放に繋がる行為なのだとすれば、自分が阻止しなければならない。ヤミヨが自分にしたことを考えれば、彼女の意図は間違いなく悪辣で陰湿で、人の尊厳を地に貶めるようななにかに違いないのだから。
「私は──私がどうなっても、あなたを倒すよ!」
「だから無駄だと──っっ!?」
学校を、みんなを、この世界を守る──その意思がメイの心に光を宿していた。
「馬鹿なっ……」
ヤミヨの表情が歪み、怒りを滲ませて噛み締める唇から血が滲む。だが、憤怒の形相で魔力波をぶつけても、メイの光の渦は乱れなかった。
「なぜ──なぜあなたに、まだそんな力がっ……」
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