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【分岐小説】
姫騎士クレア
呑み溶かされるビキニアーマー

小説:清水勝治 挿絵:泡盛一太朗
 

「むぐうぅうっ!」
 新鮮で柔らかな肉感なのに、生温な湿地帯のようで気持ち悪い。
 大蛇はそのまま口を閉じる。パックリと音がして、首から上が見事に大蛇の口内に嵌ってしまった。
「おぅううっ! 離せぇええっ!」
 そのまま吸引され、全身丸呑みされそうになる。クレアは汁塗れになった顔を上げ、ジタバタと両脚を暴れさせて、なんとか耐え忍ぶ。
 結果、うつぶせ状態で上半身を呑み込まれたまま、身動きが取れなくなるという膠着状態となった。
(な、なんなのだ……このグロテスクな気味の悪さは……)
 生き物の口の中に、放り込まれるなど未知の体験である。ムワっと音がしそうな生温かさと不快な湿度に、一瞬にして上半身が汗ばむ。悪臭に鼻の奥をツンと突かれると、健康体のクレアの免疫機能が働き、鼻水が滲み出て、そのまま垂れ落ちる。手の甲で拭うこともできない。
 呼吸をするたびに、口と鼻、喉と肺に不快な空気が蔓延し、内部から穢されているみたいだった。
 さらに蛇触手の唾液らしき液体が粘膜全体から、大量に垂れ落ちてくる。頭皮や耳裏、首筋、頬やうなじを這うように伝い、胸部を守るビキニアーマーの外側だけでなく、内側まで侵入し、素肌に張りつく。粘着力が凄まじく、柔肌にへばりついては、ゆったりと時間をかけて撫でるように流れ落ちていく。
 ただ、それらよりも最悪なのは、外に飛び出したままの下半身がまったくの無防備なことだった。
「あらあら、姫騎士ともあろうものが、こんなに情けない姿になって……」
 使い魔の内部だからなのか、メドゥーサの声はより明瞭に聞こえた。
「くっ! う、うるさいっ!」
 自身でも先ほどの行動が、少々間抜けだった自覚はあった。
「当然、私を誘っているのよね」
 脹脛に指先を置かれた。そのまま膝裏から太股にかけ、愛玩動物にそうするように優しく撫で回される。
「ひゃううっ! そ、そんな訳ないだろうっ! 馬鹿っ! やめろっ! 私に指一本触れるんじゃないっ!」
 視界が遮られている分、皮膚感覚が鋭くなっていた。形のよい指の感触が鮮明に感じ取れる。好き勝手に触られる嫌悪感もあったが、同時に妙に背筋がソワソワもする。
「しっとりとして、指先に吸いついてくるわぁ。そもそも、お肌に自信があるから、そんな破廉恥な格好しているんでしょ?」
「ち、違うっ! そんな訳ないだろうがっ! このビキニアーマーは私の誇りだっ!」
 下半身に意識を持っていかれた隙に、口内に生息していた細かな蛇触手達が身をくねらせながら近寄ってくる。
(な、なんだ……こいつらは一体、何をしようとしているのだ)
「ひゃうううっ!」
 ぴゅるるるっ! と、先端から白濁液が一斉に噴出された。ネトネトした粘液で、顔面が覆われる。一瞬にして生臭い匂いに包まれた。さらにビキニアーマーに守られた肉果実の枠線を描くように、根元をぎゅっと、強く締め上げてくる。
 同時に、両胸と下腹部、ビキニアーマーと接触している箇所の肌触りが、妙に気になってくる。長年、装備しているが、こんなことは初めてだった。
(身体中の感覚が……神経が……過敏になっているのか……)
 それが、顔面に吹きかけられた媚粘液の効力だとは気づかない。
「ぐぅううっ! こんなこと……いくらしても無駄だぞ……」
「フフフ……いつまでその毅然とした態度ができるのかしらねぇ」

 
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