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くノ一鈴音 孤城の夜闇に咲く白肌
小説:斐芝嘉和 挿絵:森ぐる太
 

「……どうした? 早く脱げ」
「武装は解いた。伊熊殿に……」
「ならぬ。すべて脱げ!」
 笑いを含んだ声で矢守が命じ、その卑しい気配が兵たちにも伝わった。土間に立ち籠めていた剣呑な気配が、たちまち弛む。
(……もう少し近づいてくれないと、一度に全員を眠らせるのは無理ね)
 歯噛みした鈴音は渋々鎖帷子を脱ぎ始めた。左右の脇腹の金具を外し、襟元を解いて、上半分を頭から抜く。腰に手を回して紐を弛め、尻から脛までの鎖帷子を脱ぎ降ろす。
「こ……これでよいだろうッ!?」
 サラシに守られた胸と剥き出しになった尻を手で押さえ、上擦る声で叫ぶ鈴音。半分は油断させるための演技だが、半分は本気で恥ずかしい。
(いまに見てらっしゃい! その助平な目玉、抉り出してやるんだから!)
 目の前に立つ矢守があと三歩、いやあと一歩でも近づいてきたら、眠り薬を撒こう──そう思っているのに、
「まだだ。サラシも褌も解け」
「……ッ!?」
「どうした? 解けぬか? 我らが手伝ってやろうか?」
「い、いいっ! 自分で解く!」
 いやらしく笑み崩れた男たちが躙り寄る気配を見せた途端、鈴音は反射的に拒んでしまった。
(あ……なにやってるの、私ッ!?)
 後悔しても遅い。包囲の輪がもう少し狭まらなければ全員を一度には眠らせられない。そして、もう少し引きつけるためには自らの手で胸のサラシを解かなければならない。
「じ、自分で解くから……!」
 もう一度繰り返した鈴音は、震える手を動かし、サラシを解く。
 美しい丸みが次第に現れ、柔肉の谷間が薄闇に浮かび──やがて胸先に色づいた可憐な乳首が露わになる。
「おぉぉ……ッ!」
「ッ!?」
 予想外に近くから上がった潮のような響めきに、息を呑む鈴音。
 羞じらっているせいで感が鈍ったのか、背後にいた兵たちがいつの間にか左右に迫り出し、いやらしい視線を四方八方から投げかけていたのだ。

 
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