「ふぇ……フェリア! フェリアっ!!」
すると再びカールラントがギュッとフェリアを抱き締めてくる。
「で……殿下?」
「ごめんフェリア……。駄目だ。一回射精したくらいじゃ我慢できない。キミが……キミが欲しい。フェリア……キミのすべてを僕のものにしたい」
そう語るカールラントの肉棒は、射精したばかりにもかかわらず萎えることなく、痛々しい程に屹立していた。
すべてを自分のものにしたい──そう語る王子が何を考えているのか? フェリアはすぐに理解する。
「……申し訳ありません殿下……。それは……それだけは駄目です」
理解した上で、首を横に振った。
「何故だ? どうして?」
「……いま……殿下とせ……セックスをしたら、必ず私は妊娠してしまうからです」
「どういう意味だ?」
「私が……亜人だからです……」
亜人は非常に個体数が少ない生き物だ。その理由は亜人の妊娠しづらさにある。ただセックスするだけでは、絶対に受精することがないから……。
では、どんな時亜人は子を身籠もるのか?
それは、本当にこの人の子供を産みたいと思った相手とした時である。
心の底からこの相手の子が欲しいと願うと、必ず妊娠するのだ。
だから今、カールラントとセックスすることはできない。何故なら、今すれば、必ず彼の子を身籠もってしまうから……。
「……つまりキミは僕の子を……」
亜人の特性を知っているカールラントが真っ直ぐ自分を見つめてくる。察してくれたらしい。
「はい。欲しい。欲しいです。私は殿下との子が欲しい」
「だったら!」
「でも……駄目です。それだけは駄目なんです。殿下の子を亜人が孕むわけにはいかない。民がそれを許しません」
亜人はどんな相手と交わっても亜人しか産むことができない。国を継ぐ王子の子が人にあらざるものなどあってはならないことだった。
「ですから……少し、少しだけお待ち下さい」
「待つ? どういうことだ?」
「……私と貴方が結婚しても誰も文句を言ったりしなくなるまでです」
「そんな日が来るのか?」
「来ます……いえ、私がそんな日を作ってみせます。魔族を滅ぼすことで! 私の力で魔物共を根絶やしにすることで!」
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